中村茂人先生(中央区開業)
Comprehensive approach in consideration of “Evidence” and “Narrative”.
『エビデンスとナラティブを考慮した包括的アプローチ』
平成17年度の8020推進財団による調査では、歯を失う原因として 1位 歯周病(41.8%)、2位 う
蝕(32.4%)、3位 その他、4位 破折という結果を報告している。しかし、Axelssonらの調査では30年間の歯科衛生士のメンテナンスプログラムに応じたグループの場合、歯周病やう蝕による抜歯はほとんど消失し、失活歯の歯根破折が圧倒的に1位となる。またう蝕の再発においては二次カリエスがほとんどを占めるという結果であった。これらの論文から、歯科衛生士によるプラークコントロール含めた炎症のコントロールが最も重要であり、歯科医師はその環境づくりのために歯列不正や不適合補綴物などをなくし、その上で歯根
破折に対する構造力学的な配慮すなわち力のコントロールを行わなければならないと推察する。
その一方で、近年患者側からの要望は歯の保存のみならず、様々な点において高まってきていると感じる。
それは『いつまでも美しくいたい』『快適でありたい』といった向上的なものもあれば、『噛めない』『顎が痛い』『肩こり頭痛がひどい』のように以前であれば、歯科の分野ではないと考えられていた内容までも見受けられる。これは過去に歯科の歴史が、痛みの除去から歯の保存へと徐々に進化したことと同じで、健康で楽しく生きたいと変化しているのであれば、仕方ないことであろう。ここで一つのジレンマが生じる。なぜならば、歯の保存と咀嚼効率の向上は力という観点からは相反し、且つ審美性や快適性を獲得しようとすると歯の削除量は増していくからである。
これら全てを考慮した場合、機能的、構造力学的、生物学的、審美的なバランスが重要となる。演者は、所属するスタディーグループのフォーマットに則って顎口腔系を一つの単位で診査診断を行い、様々な科学的根拠(エビデンス)と個々の患者物語(ナラティブ)のもとになぜそのような状況に陥ったのかといった原因論を追求し、そして患者の目的はどこにあるのかを事前に話し合い、可逆的なシュミレーションの再評価を重ねて治療を施すという一連の過程を実践し続けてきた。またそれらを達成するための知識や技術を師匠や先輩方から学んできた。今後私達に求められる必要な知識と技術とはいったいどのようなものであろうか?今回、私
達が遭遇する症例に対して、
に焦点をしぼり、エビデンスとナラティブから得られるヒントについて臨床実感と共に報告したい。
2017年9月3日(日)
10:00〜16:30(※9:30受付開始)
発明会館
東京都港区虎ノ門2-9-14【地図】
正会員 準会員B |
無料 |
準会員A | 3,000円 |
非会員歯科医師 | 15,000円 |
非会員衛生士 | 5,000円 |